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「属性がなければ…なんじゃ?」
溜息のあとに出てきたのは、先程と違い優しさが感じられない真剣な声。
「い、いえ…もしそうだとしたら、どうなるのかなぁ~と思いまして。」
予想外の反応に動揺を隠しきれず、若干の素を曝け出してしまうダリア。
「そうじゃのぅ~
これは儂の推測じゃが…」
その様子をみて気遣ったのだろうか?
次に耳に届いたケルブの声は普段通りの優しさに満ち溢れた声だった。
「戦闘など皆無じゃろうな…
あくまで…もしもの話じゃがな…」
優しい声で告げられた残酷な真実。
それが分かっているからこそ、穏やかな声に反してケルブの表情は険しいものだった。
それから間もなくして、この噂は爆発的な勢いで王都全域に広まった。
未来の英雄は出来損ないだと…
こうして、リュオに寄せられた人々の期待は嘲笑へと変わっていったのであった。
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