~Prologue~

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目に映るのは、大理石が敷き詰められた壮厳な雰囲気を醸し出された講堂。 天井は高く風船など飛ばしてしまえば、二度と取ることはできないであろう。 そんな広大な講堂にいるのは、舞台の上で並んで座る数人の教師と思われる大人達。 そして、講堂中央には直立不動の状態で立っている数百人に及ぶ新入生と思われる子供達。 大人達の服装こそ落差が激しいものの、生徒達の制服は卸したての新品なのが遠目にでも分かる。 逆に言えば、貴族の見栄の張り合いは入学式から始まっているのが感じられる一場面である。 「ミシェリア=ターラン。」 黒い演説台の前に老紳士が立つと、生徒の名前を講堂に響き渡る声量で呼ぶ。 それに呼応した金髪の小女は、学生達の中から一歩を踏み出して舞台上に上がって行く。 スラリと細い肢体と長い足で毅然で歩む姿は、まるでモデルのショーでも見ているかのようだ。 誰もが彼女の一挙一動を見守る中で、少女は鮮やかなエメラルドの瞳に教師達を映し込む。 そして、後方に座る教師達に一礼した後に演説台に立つ老紳士にも同様に頭を下げる。 その手順、作法は完璧なもので教師達や生徒達から喝采の拍手を貰う程だ。
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