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「では、始めなさい。」
老紳士は演説台の脇に重ねられた大量の白い羽から一つを選んで少女に差し出す。
「はい。」
ミシェリアと呼ばれた少女は、白い羽を大切そうに両手で受け止めると二度目の礼をする。
渡された白羽は鳩の羽よりも二周りほど大きい。
それは一片の穢れもなく天使のものではいかと錯覚してしまう。
それに魔法を行使する源となる自然の力…精霊力を惜しむことなく羽に向けて流し始めた。
「精霊力は360です。
やはり、飛び抜けてますね…」
老紳士の隣に座る若き女性教員が腕時計型の計器から精霊力の値を取って読み上げる。
同時に周囲の教師達から感嘆の声が漏れると少女の手に握られている羽根に変化が生じ始める。
羽根の至る所に露が現れると同時に毛先から根元にかけて複数の切れ目が入っていく。
「水に風…先天属性の影響がここまで明確に出るなんて…」
その現象を目にした先程の書記と思われる女性教師が驚嘆しつつも結果を読み上げる。
その発言から十分だと判断したミシェリアは精霊力を流すのを止めて羽根を胸ポケットに挿す。
そして、一歩下がった後に老紳士に対して礼を終えると舞台の上から去って行った。
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