~Prologue~

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「リュオ=ナイツフォルド君。  君に秘められた力に、我が校は期待している。」 決められた形式を破ってまで、老紳士は白羽を渡しながらリュオに話掛ける。 「は、はぁ…」 前門からの老紳士の期待、後門からの生徒達の羨望にリュオは困惑しながらも相槌を打つ。 「君、戦闘経験はあるのかい?」 それがいけなかったようで、質疑応答でも始まったかのように新しい質問が浴びせられる。 次の質問者は、演説台の後方で腰を掛けている若く眼鏡をかけた若白髪の教師。 パッと見て白髪に見えるものの、よく見れば灰色と呼んだ方が良いような色合いだ。 ミステリアスな雰囲気を醸し出す美男子ではあるが、リュオは女ではないのでときめかない。 仮に女だったとしても、言葉の使いから取れる固めな性格は苦手な部類なのでときめくことはない。 「実戦はないです…  あ、でも…模擬戦闘なら何回かやったことがあります。」 入学式の進行を止めてまでの質疑応答に、リュオはしどろもどろになりながらも答えていく。 だが、裏を返してみれば学園側がリュオにどれだけ期待しているかの現れでもあった。
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