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それは、2月のある土曜日のこと──……。
カーテンの隙間から漏れる眩しい陽光に誘われて、俺はぼんやりと目を開けた。
窓の外からは小鳥の可愛らしい囀り。
寝起き独特のけだるさを覚えつつ、二度寝を決め込もうと寝返りを打つ。
バイト代をつぎ込んで買ったダブルベッドは一人で眠るには広すぎる……はずなのだが。
ゴン!と額を何かにぶつけてしまい、不思議に思った俺はゆっくりと寝ぼけまなこを開けた。
「……ッて……」
唇が触れ合いそうな至近距離で、もぞりと何かが動く気配。
聞き覚えのない低音のハスキーボイスは、紛れも無く男の声。
「……!?」
見開いた俺の目に映ったのは──、
眠気もぶっ飛ぶアイドル顔負けに綺麗な顔立ちの見知らぬ若い男だった。
トップは短め、襟足長めの明るいハニーブラウンの髪、ぱっちり二重の目に通った鼻筋、形の良い薄めの唇は綺麗な桜色。
誰だよ……っ!?
このチャラチャラした超絶イケメンは!
男はかったるそうに目をこすりながら、不思議そうな表情でこっちを見ている。
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