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なんにせよ、せっかくの機会。
週末が稼ぎ時のバーで働いている以上、光輝が金曜日に空いてる日なんて滅多にないはず。
またとないこの機会、有り難く利用させてもらうわ。
「悪い。だいぶマシになった」
「まっすぐ歩けるか?肩、貸してやるよ」
「ぇ、あぁ……サンキュ」
成り行き上、悪酔いしたフリをするっきゃねぇ。
言われるがまま、酔っ払いの扱いには慣れっこの光輝の肩にもたれかかる。
着痩せするだけで意外にしっかりした肩幅。
間近で見る整った横顔にドキッとした。
「おま……顔赤けぇぞ。ンなに酒弱かったっけ?こないだはビールたらふく空けてなかったっけか」
「……今日はちょっと、体調悪くて」
「そうか。気分悪くなったらすぐ言えよ」
なんか光輝、優しい。
仕事の邪魔したってのに、怒りもしねぇし。
……悪いことしたな。
店を出て歩き始める。
このまままっすぐ帰宅すんのは勿体ねぇ気がするな。
「ぁ、」
たまたま通りかかったDVDのレンタルショップの前で立ち止まる。
「ん?どした?」
「なぁ俺、映画見てぇ。なんか借りてかねぇ?」
「……いーけど。大丈夫かよ、体調は」
「ヨユー」
光輝の肩から手を降ろすと、レンタルショップへと入っていく。
二人でDVD選び……カップルっぽくて照れる。
けど一回やってみたかったんだよな。
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