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ドサッ。
何かが倒れる音がした。
するとその音が引き金となったかのように、周りから異形のモノ達が現れる。
「ふぅ……アルさんも人が悪いな。」
数は30はあるだろうか。
大小様々の目が樹を見ている。
「全く、ここの修復は責任とんねーからな。」
そう言うと樹の足下から炎の円が広がっていく。
徐々に速度を増したそれは──
「───狭界炎上っ」
巨大な炎柱が周囲の建物ごと現れたモノ達を焼き払った。
辺りにパラパラと残骸が散る。
「んーこれで全部かな。」
樹は周りを確認しながらフードを脱いだ。
焦げ付いた壁面が火事の現場を彷彿させる。
目にかかりそうな黒い前髪が、まだ残っている熱風に揺らいでいる。
「でも、随分と成長したよな俺って……うんうん。前はこんなに一度に戦う羽目になったら、尻尾巻いて逃げてたトコだ。」
その目は遥か上空を見上げた───────
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