エピローグ

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イメージが流れ込んでくる───ヒトはココロとタマシイ。 それぞれは昇華、輪廻してそこに新たなヒトが生まれる。 それが世界の理…… しかし、全てがそうとは限らない。 ────死と隣り合わずに死んでいった者 ────他人の凶刃により死んでいった者 ────強すぎるココロで死んでいった者 彼等は理から外れ、“ミスブライム”昇華し損ねた者としてこの世に留まってしまう。 そして、死への連なりから本能としてヒトを殺すモノへと堕ちる──── 樹には到底理解できない話だった。 しかし、何故か樹の頭はそれを正しい事実として、受け入れる。 「………。」 「でも、その中でも稀に自我を保ったまま肉体が再構成される場合があるの。」 そこでアテナは口を止め、厳しい顔で暫くこちらを見た。 そして、何かを決めたような顔で再び口を開いた。 「あなたや私のような存在。いいえ、この場所にいる者は皆そう。私達“月下の巡礼者”は区別して“ザイエンド”と呼称しているわ。」 樹の背に悪寒が走る。 「………俺のような……?死、んで、る?」 「そう。私達は皆、一度は死んだ身。この世に取り残された黄泉還り。」
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