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丸メガネの奥の糸目をうつすらと開いてパソコンとにらめっこをする男。
男は大体40代に見られるが本当はまだ30代。
白髪のお陰で年相応に見えないのだ。
ペイラー・榊(さかき)
それが彼の名前だ。
「それで、俺をここに呼び出した理由はなんだ。面倒事なら断るぜ」
「いや、ソーマ、君にはこれを見て欲しい。君の偏食因子と、今回の新人君の偏食因子だ」
ソーマ、と呼ばれた少年は深く被っていたフードを取って、ペイラーのパソコンを覗き込む。
そのディスプレイに映っていたのは、自分の偏食因子、P73と、新人の偏食因子___
「なん、だ、こりゃあ……」
___自分の偏食因子と瓜二つの偏食因子だった。
「おかしいだろう?
僕が投与したのはP53。皆と同じものを投与した筈なのに、彼のだけ、P73に変化…いや、進化したんだ」
「おい、P73は人体に直接投与できねぇはずだ」
「だから進化したといっているだろう。
君が胎児の頃に入れられた因子と瓜二つ。
ここまで似ていると、何かの予兆としか思えない」
「…どうするんだ」
「しばらくは様子見だね」
たんたんと言って除けるペイラーに顔をしかめるソーマ。
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