蝉の少女 (8月25日)

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「そういや、洗剤がそろそろ切れる頃か」 気になって見てみると、確かに洗剤が底を尽きかけていた。 あと数回は持つが、夏休みが終わるまでは持たないだろう。 「うぁ……この暑い中行くのか……」 窓の外に広がるのは熱波地獄。太陽の野郎は自重という言葉を知らないらしい。 しかも熱波だけに飽き足らず、蝉まで鳴く始末だ。まだまだアブラゼミが多いらしく、ミンミンとうるさく騒ぎ立てていてさらに暑さを引き立てている。 「でもまぁ、仕方無いよなぁ」 それでも僕は行かざるを得ない。洗剤無くして洗濯は出来ないのだから。 僕の家から最も近い薬局は、自転車で10分ほどのところにある。 僕は散々鳴き散らす蝉共の大合唱をBGMにして薬局に辿り着いた。 「ありがとうございました!」 バイトの店員さんの挨拶は、この暑い中でも元気だ。 いやまぁ薬局内はクーラーで涼しいのだが。 閑話休題。 無事に洗剤を購入した僕は、ゆったりと自転車で町を進む。 薬局のクーラーで冷え切った僕の体は、相変わらずの熱波にさらされて一気に気だるさを増す。 ・・・早く帰ろう。 程なく小さな公園――通称“噴水公園”――に差し掛かる。 ここを横切ればかなり近道なのだ。 夏休みという時期なだけに、この熱波の中でもたくましく遊ぶ小学生はかなりの量にのぼる。 その大半は虫取りに夢中になっているが。
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