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この蝉がさっきの光源なんだろうか……?
いや、蝉が光るなんて、いくらなんでもあり得ないだろう。
しゃがみこんで詳しく見てみるが、特に変わった所はない。
「気のせい、かな」
僕は抱いていた淡い期待を軽く裏切られたような気分で、その場をあとにすることにした。
時間は進み、その日の夜。
夕食を終えた僕は、ソファーに座ってテレビを見ていた。
ふとテーブルに置いた携帯に目をやると
「あれ……無くなってる」
携帯に付けてあったストラップが、無くなっていた。具体的には、ストラップを繋ぐヒモが中ほどで千切れてしまっていた。
あのストラップ、去年母さんにもらったお気に入りだったのに……
いつ落としたんだろう?
今日は外出といえば、薬局くらいしか行っていない。
落とすとすればその道中だろう。
「行くだけ行ってみるか――――」
見つかればいいなぁ、と軽い気持ちで、僕は夜の帳へと繰り出したのだった。
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