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家から薬局までの道のりを歩いてたどる。
辺りは既に真っ暗だが、煌々と光る街灯が地面を照らしているのでストラップ探しに支障はない。
失くしたストラップは、昨年両親がアフリカ旅行の土産に買ってきてくれたものだ。
まるでエメラルドのような翡翠の水晶体。
かなりの透度を誇っていた。
「うぅ……暑い……」
それにしても、暑い。
近頃、温暖化やらなんやらで気温が上昇しているらしいが――難しいことはよく分からん。
そうこうしている内に、噴水公園まで来てしまった。
深夜の公園は、どこか不気味だ。
一応、街灯はついてはいるものの、公園全体を照らせているわけではないため、結果として薄暗い、何か出そうな雰囲気を醸し出している。
「えと……確かこのへんを通ったよな」
つい一人言を呟きつつ、大樹の元へ向かう。
暗闇の中で浮かび上がるように屹立する大樹の姿は、街灯に照らされてさながら世界樹のようであった。
いや、世界樹なんてゲームの知識でしかないんだけれど。
そんなことをつらつらと考えながら、大樹の周囲を見回し――――
・・
それを見つけた。
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