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「もう一度生きたいと願うのは、いけないことですか…?」
フワリ、風が舞う。
「会いたいと、ただそれだけを願っていた。やっと、願いが叶ったのに」
ヒラリ、葉が落ちる。
暑さも、寒さも、痛みも、すべて感じれる体。
ふれると暖かな、あの日失った温もり。
ただお互いが必要だった、孤独な子ども達。すべてを失った日の痛み。
やっと、手に入れたのに…
「それは、いけないことだ。さぁお嬢さん、こっちへ来なさい。君の居場所はここにはない」
神父様の無慈悲な言葉。
引き裂かれる痛みをまた繰り返すのか。――否。
次こそは、守りきろうと神に誓った。例えその神がこれを許さなかろうと、迷いはない。
「…神父様。いけないこととは何ですか?それは誰からみた、どんな事なのですか?」
静かな声は墓地の中に響く。
「悪とはなんですか!?僕は誰にも迷惑をかけてはいません。彼女は生きています!!今生きている命を…潰してしまうことが正しいのですか…?」
「神の御心に従い、悪は滅する。さぁどきなさい。悪とは神に逆らう君達のことだ。清く生きること、それが正義」
風は時を運び、時は現実を見せつける。
守れずに失ってしまったものは大きすぎて、必死に取り戻そうとした。けれどもそれは手をすり抜けて、届きそうで届かない。
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