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卒業式が終わり、教室に戻る。
特別、担任からの話も無くて、さっさと帰らせてくれた。
私はいつものように部室に行った。
そこには幸子がいた。
「あれ?
はっちゃん、行かないの?」
と幸子が言う。
「どこへ?」
私は何の事か分からなかった。
「田崎先輩の所だよ。」
「えっ?」
「お別れの挨拶とかしないの?」
「挨拶?」
「プレゼント渡すとか。」
「プレゼントなんて無いよ。」
「じゃあ、ボタンくらい貰わないと!」
「ボタン?」
「第二ボタン。
ほら、よく言うじゃない?
制服の第二ボタン貰うって。」
「それ、昔の話でしょ?」
「そうかな?
欲しいなら行くべきじゃない?」
私は第二ボタンが欲しいのかすら分からない。
田崎がボタンをくれるのか?も分からない。
でも何か挨拶くらいは、しておくべきかな?
何を言えば良いのかな?
何より……田崎の事をどう思ってるかすら分からないのに、ボタンなんて……ねぇ。
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