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少し沈黙が続いた後に田崎が口を開いた。
「五百円。」
五百円?!
何が五百円なんだろう?
キョトンとしている私に田崎は、
「五百円で売ってやる。」
と言った。
五百円なんて持ってない……。
でも欲しい。
どうしよう?
お小遣いを前借りしようかな?
でも欲しい物があるしなぁ。
私は何も言えなくなってしまった。
すると、
「ユウ!!」
と誰かの声がした。
ユウって田崎先輩のニックネームだよね。
声の主は誰だろう?と思ったら……。
田崎のクラスの女子だった。
忘れもしない。
田崎のクラスに行った時に、私達を取り囲んだヤツらの一人。
何で、こいつが出てくるんだよ!
と思ったけど言えなかった。
「ユウ、早く行こう!」
と離れた所で、また女子が言った。
「葉月ゴメン、俺、行かなきゃ。」
と田崎は気まずそうに言う。
「あの……。」
と私が言いかけた瞬間に田崎は、女子の方に歩いて行った。
私は黙って、様子を見ていた。
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