エピローグ

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それから、一ヶ月。 私が田崎の事を思い出す事は、ほとんど無かった。 新しいクラスで沢山の友達に囲まれ、いじめられっ子だった事も忘れかけていた。 でも田崎が使っていた教室に私がいる。 なのに思い出す事はあまり無かったのは不思議だ。 ある時、教室を掃除していたら、壁に落書きがあった。 井上の名前と他のクラスメイト数人の名前が書かれていた。 そこに田崎の名前は無かった。 田崎の名前があったら思い出したかもしれない。 だけど井上を思い出して、田崎を思い出さないのは何故だろう? 私は無意識の内に気持ちを封印してしまったのかな? 自分でも理解出来ない。 ただ……私はまた春に桜が咲くのを見たら思い出すのかな? その頃には気持ちが落ち着いて、田崎に出会えた事に感謝出来たら良いなぁと思った。 桜と共に散る思い。 いつしか桜と共によみがえる。 その時、私は何を思うでしょう? もっと強くなりたい。 そしてまた、笑って会えますように……。 【END】
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