前進

2/2
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
              ―――…教室の休み時間での出来事。  「瑠色(ルイ)っ頑張れ!」  後ろには友達の声援。 前には           ―――…永尾君。       永尾君は私が半年前から好きになった人。   奥手な私には挨拶も(勿論話も)した事が無く。 そんな事親友の麻美に相談して2週間。 今日もいつもみたいにおはようぐらい言いな。と言われ、 今の状況に有る訳だけど。          い、言えない…。                初恋&超奥手な私は挨拶だけでも足がすくんで。       スタートラインにさえ立てない……。 そんな私を麻美は呆れ顔で「ちゃんとやる気ある?」 と言う。 私はただ、笑ってごまかすしか出来なかった。        そんな日々を繰り返してると、ある日私に天気が訪れた。          休み時間に先生に呼び止められ、ある頼み事をされた。           「……永尾にこのノート渡してくれないか。」         私が唖然で居ると、にやついて麻美が渡してきなよッ。と楽しそうに急かす。             私はなんとか戸惑いながらも永尾君の机の前に。 ―…深呼吸して。       大丈夫大丈夫。机の上にノートだけ置いておけば………       甘かった。                    「あれー?鈴木じゃん。俺の席で何してんの?」         一瞬、心臓停止。再び動き出した心臓はすごく速くて。           「…ぇ…えっと」 「何?」 キョトンと首を傾げる永尾君。          頑張れ。頑張れ私…!!     「せ,先生から…ノート預かってて…渡しに……。」 声が小さくなる中、下を向いたままギュッと両手で握り締めたノートを永尾君の前に突きだした。         そんな私に永尾君はノートを受け取って 「…なの?サンキュな!」 と言って 私の頭をくしゃくしゃ撫でた。             君の笑顔が嬉しくて嬉しくて。               一歩前進した、 そんなある日の出来事。           END    
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!