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―――…教室の休み時間での出来事。
「瑠色(ルイ)っ頑張れ!」
後ろには友達の声援。
前には
―――…永尾君。
永尾君は私が半年前から好きになった人。
奥手な私には挨拶も(勿論話も)した事が無く。
そんな事親友の麻美に相談して2週間。
今日もいつもみたいにおはようぐらい言いな。と言われ、
今の状況に有る訳だけど。
い、言えない…。
初恋&超奥手な私は挨拶だけでも足がすくんで。
スタートラインにさえ立てない……。
そんな私を麻美は呆れ顔で「ちゃんとやる気ある?」
と言う。
私はただ、笑ってごまかすしか出来なかった。
そんな日々を繰り返してると、ある日私に天気が訪れた。
休み時間に先生に呼び止められ、ある頼み事をされた。
「……永尾にこのノート渡してくれないか。」
私が唖然で居ると、にやついて麻美が渡してきなよッ。と楽しそうに急かす。
私はなんとか戸惑いながらも永尾君の机の前に。
―…深呼吸して。
大丈夫大丈夫。机の上にノートだけ置いておけば………
甘かった。
「あれー?鈴木じゃん。俺の席で何してんの?」
一瞬、心臓停止。再び動き出した心臓はすごく速くて。
「…ぇ…えっと」
「何?」
キョトンと首を傾げる永尾君。
頑張れ。頑張れ私…!!
「せ,先生から…ノート預かってて…渡しに……。」
声が小さくなる中、下を向いたままギュッと両手で握り締めたノートを永尾君の前に突きだした。
そんな私に永尾君はノートを受け取って
「…なの?サンキュな!」
と言って
私の頭をくしゃくしゃ撫でた。
君の笑顔が嬉しくて嬉しくて。
一歩前進した、
そんなある日の出来事。
END
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