さよならの後に

8/10
前へ
/34ページ
次へ
「誰それ?昨日の太陽?ほんと知らないの?」 「知らないよ。始めて話したんだもん。  ムカつかない?」 「えー?分かんない。  だって、確かに正しいもん」 「でも、言い方ってもんがあるじゃん!」 「まぁ…ね。もしかしたら、中学生とかじゃない?」 「えー?それじゃ、私が中坊に諭されたわけ?」 「そっか。中学生以下ってことか」 「マナミぃ?」 「ごめんごめん。  でも、言った方がスッキリするんじゃない?」 「無理。アド消しちゃったし」 「じゃあ、私のケータイからかければ?  したら奴も出やすいでしょ」 「まぁ、確かに」  有り難い話だ。  だけど、なぜだろう。  話すことができると知った途端に、この胸のざわつきのようなものが起こったのは、なぜだろう。 「じゃあ、夜に。  それまでに何て言うか考えときなよ」 「うん。ありがと」  それから1時間。  『さよなら』という言葉以外に、何も話す言葉が見つからない。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加