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残業で、私は彼との約束に間に合いそうになかった。
終電まで仕事になりそうだと、彼に電話で告げた。
しかし、客の入りが少なかったお陰で、店長から早くあがっていいという許しが出た。
時計を見て、まだ間に合うかもしれないと、待ち合わせ場所へ向かう私。
待ち合わせ場所の近くまで来て、彼を見つけた。
しかし、その左手は千恵美が握っていた。
その後ろ姿を見て、私は逃げた。
その現実から逃げたくて、信じる事ができなくて。
胸が苦しくて痛くて、立ち止まった私は、暫く立つことさえできなかった。
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