2203人が本棚に入れています
本棚に追加
/399ページ
『藍姉…人生諦めも肝心だよ?』
『そうだけど、今は諦めちゃダメだと思うよっ』
『むぅ…意外と往生際が悪い…』
『それは私の台詞だよっ!』
『こうなったら意地でもイかせる…』
『冬乃ちゃん今日はやけに積極的だね、どうしちゃったのっ!?』
………。
早く終わらないかな…。
扉に寄りかかってボーッとしていると、急に扉のカーテンが靡いた。
「あなたも苦労してるみたいね」
「………………。緋音さん、そこは窓ですよ」
「わかってるわよ」
学校の制服を纏い、俺の部屋にまた一人女性が入り込んできた。
この人は一ノ瀬緋音。
藍羅とは対象に位置する姉で成績優秀、文武両道、才色兼備、そしてドSを兼ね備えたパーフェクト生徒会長だ。
「緋音さん、なぜここに?」
「愚問ね。あなたたちの声がうるさいからよ」
すいませんね。
「それで、どうするの? これ放っといたら夜まで続くわよ?」
「……………………」
その件については激しく同意だ。
「私が止めてきてあげましょうか?」
「………お願いします」
「わかったわ」
緋音さんはそう言って俺の横を通りすぎ、扉を開けて部屋を出た。
「貸し一つよ、幸人君」
…………………。
最初のコメントを投稿しよう!