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とまぁ、そのあとすぐに喧騒は収まったものの、結局登校できるようになったのは遅刻するかしないかの瀬戸際になってしまっていた。
俺と藍羅、緋音さんの3人で少し急ぎ足になりながら学校に向かう。
「おや、どうしたのですか蒼井さんに一ノ瀬さん、それに会長までそんな急いで」
その途中の道で少し眠そうにしながらも笑顔を絶やさない爽やかな男が現れた。
この男は綾瀬良夜。俺の知り合いの中で唯一頼れるまともな奴だ。
「おう綾瀬。いや遅刻しそうだからに決まってるだろ」
俺が足踏みをしながらそう言うと、目の前の綾瀬は意外そうな表情をした。
「蒼井さんには会長がついているから心配はいらないと思ったのですが…」
「なんだよ」
「今日は登校時間が少しずれて9時までに登校すればいいはずでしたよ?」
『…………………』
綾瀬のその言葉を聞いてその場にいた藍羅と俺、さらには少し前を歩いていた緋音さんですら立ち止まって固まってしまった。
「もしかして…お忘れでしたか?」
『…………………』
「その様子だと…忘れていたみた────」
『それ以上言わないでぇぇぇぇえええっ!!』
これ以上心の傷を広げないために、俺たちは全力で綾瀬を取り押さえた。
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