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「…よっこいしょ…」
膝に乗っていた少女は小さく呟いて跳ね降りた。
この子の名前は結城梨沙。
俺たちのクラスメートで、比較的物静かな子だ。
スッとした切れ目に眼鏡、小柄な身長が特徴で、物凄く頭がいい。
なんせ学年首席だからな。
「…幸人…鈍い…」
「いやいやいや。梨沙が気配消すのが巧すぎるだけだからっ」
「…こんなの…最近の子みんなできる…」
できないと思う。
「あれ? 瀬山くんは?」
俺と梨沙が微妙なやり取りをしていると、藍羅が何やら回りを見渡しながらそう訊いた。
「そういえば消えたわね…。まぁどうせろくでもないこ───」
と、飛鳥が何かを言おうとしていたが、それは突然の雄叫びによってかき消された。
「リア充には死を───っ!!」
『リア充には死を───っ!!』
そしてそれは刃となって、俺に牙を向けた。
『死ねぇぇぇ幸人ぉぉぉぉおおおっ!!』
「危なっ!?」
音もなく飛び交う無数の文房具は全て俺の頭や左胸、首筋、手首、足首、股間など人体の急所を狙っていた。
普段から死の危険に晒されている俺でなければ確実に仕留められていただろう。
『チッ…避けられたか…』
「…お前ら……っ!!」
こいつらは一年四組の愉快な男子共だ。人を殺す術を心得てる暗殺のスペシャリストたちが集まっている。
今のこいつらなら将来の夢は殺し屋です、って言い切りそうだな…。目が血走ってやがる。
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