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キーンコーンカーンコーン───
「ふぁぁっ…やっと終わったよ~…」
チャイムが鳴るのと同時に、隣の席の藍羅が机に突っ伏した。
後ろの席でもバタッと勢いよく突っ伏している様子だ。
「もうーっ、なんで夏休み明け初日から六時間も授業があるのーっ!?」
「私も同感~…」
横と後ろから嘆きにも近い声が聞こえてくる。
俺はそれを聞き流しているだけだ。
なぜかって? スタミナ温存だよ、温存。
「ユッキ~…なんか反応してよ~…寂しいよぅ~」
「………………」
「こら幸人。藍羅ちゃんが呼んでるわよ」
「………………」
「へぇ~…あんた、私も無視するのね? それがどういう結果になるのか…じっくり教えて────」
「あー! 今日ももう終わりだなーっ!! 放課後は何しよーかっ!」
………危ない。もう少しで死ぬところだった。
ドッと出た冷や汗を拭っていると、藍羅がキョトンとした様子で目を丸くした。
「放課後? そんなのユッキーのテスト勉強に決まってるじゃん」
「…………は?」
「『は?』じゃないわよ。あんた今回赤点取ったら文化祭に影響するのよ?」
「そうそう。文化祭には私たちの部もイベント開くんだから。ユッキーはそこの要になってもらう予定だから欠けると困っちゃうよ」
待て、要ってなんだ。いつそんなポジについたんだ俺は。
「ほら早く行くよ~。みんなでユッキーの赤点回避作戦開始だーっ」
「ちょ、待て! 俺はいいともなんとも言って───」
「ごちゃごちゃうるさいわよ。あんたは大人しくしてればいいの」
………………理不尽だ。
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