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「……うっ……ひっく……」
ネロは、街中を一人歩いていました。
滝のように涙と鼻水と涎を垂らし、ただただ歩いていました。
「うう……ひどいや。お腹が空いたからって……パトラッシュをシチューにするなんて……!」
大切な親友が昨日のディナーになったようです。
「お爺さんの馬鹿ー!ひとでなしー!!」
捌いたのはお爺さんのようです。
「……でも、おいしかったなぁ……」
少年も、しっかり食べたようです。
「久しぶりにお腹いっぱいになったもん。パトラッシュったら、いつも僕の三倍は食べていたもんね」
ネロは、肩から提げた小さい鞄をガサゴソと漁ります。
中から出てきたのは、一枚の干し肉でした。
「今日の朝ごはんも、ありがとうパトラッシュ☆」
ネロは、凄く良い笑顔で干し肉に話し掛けました。
どうやら、ソレはパトラッシュだったモノの一部のようです。少年はソレを頬張ると、もっきゅもっきゅと咀嚼しました。
「おいひぃよ、パトラッひゅ」
空を見上げれば、パトラッシュが天使に運ばれながら親指(?)を立ててサムズアップしています。まるで「生きろ!」とでも言うような老兵のような顔です。御冥福を祈ります。
「ちーーーん」
ネロが鼻を咬んだようです。
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