フランダースの犬・尾張

2/2

6人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
「あんなジジイ、死ねばいいのに」 ネロはドアをぶち破った後、全力で町まで走りました。 この場所は隣町との境目となる橋の上。 もうネロには、あの家に帰るという考えはありませんでした。 「一人で生きてやる!何をしてでも、たとえ体を売ってでも!」 タチの悪い決心をしているようです。やめときなさい。 ネロは拳を握り締めて決意を固めると、ポシェットからパトラッシュの形見(干し肉)を取り出すと、徐に振り上げました。 「君ともサヨナラだ。パトラッシュ、君は僕の心の中でずっと生き続けるから!」 そう言うと、ネロは肉を川に投げ捨てました。 「ぶるぅぁ!!」 肉片が誰かに当たってしまったようです。 その誰かは水浴びを止め、ずかずかとネロの方に歩いて来ます。 誰かは肩を怒らせ風を切り、悠然とした態度でネロの前に佇みました。 ネロは圧倒されていました。見たこともない人間。黄色っぽい肌に見慣れない服装、妙なカーブをしている剣。その全てが恐ろしく思えたのです。 「この肉を投げたのぅはぁ、貴様かぁ!?」 何語なのでしょうか、ネロには検討もつきません。ネロに解るのは、彼が怒っていることだけでした。 「この儂をぉぅ!第六天んん魔王、織田ぁ信長ぁと知っての狼藉か!」 怒鳴られ、詰め寄られ。ネロには頭を振ることしかできませんでした。 何故こんなのがここにいるのか。何故若本ボイスなのか。そもそも時代が違うとか国が違うとか。ネロは自分の知らない知識が頭に流れながら混乱していました。ニッチ過ぎです。 「潔く白状したのぅはぁ認めてやろう。 情けであるぅぅ!一瞬で手打ちにしてくるぅれようぞぅぉ」 言うが早いか、信長公は右手に持った刀を両手で持ち、ネロの首を胴体と切り離しました。 「人天五十年、下天の内ぅをくらぶるれぶわぁ……」 ネロが最後に見た景色は、変な格好の男が、歌いながらネロの胴体に火を着けている様子でした。         ……BAD END.
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加