Episode:1 ~晴子~

7/20
前へ
/82ページ
次へ
    二人を乗せるタクシーが暗闇に消えて行くのをただただ茫然と見つめる晴子。 ( …………どうして? どうしてどうしてどうして!? 私より他の女なの――!? )     フツフツと怒りが燃え上がり、無意識にスカートの裾を握りしめた。     「誰にも――…譲らない」     晴子は自宅に着くなり靴を脱ぎ飛ばすと、バサバサと本棚を漁り始める。 「あった……」 本棚の奥から取り出したのは数年前に購入した、一冊の古びた本。 中には黒魔術などが記載されている、オカルトチックな書物だった。 晴子は昔、こういうオカルト的な物にハマッていたらしい。 頁をパラパラとめくりながら、目的のモノを探す。 「……これだわ」    
/82ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46人が本棚に入れています
本棚に追加