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満月が照らすベランダで、一人の女性が佇む。
手には銀製の十字架と白いハンカチ。
そのハンカチには大きな血痕が滲んで見えた。
「ルビウス様……ルビウス様……」
何やらブツブツと呟くと、踵を返して部屋に戻って行く。そのまま女性はテーブルの前に静かに座った。
テーブルには一枚の正方の紙。
その紙には六芒星が描かれており、中心には灯を燈した蝋燭が一本。
女性は手に持っていた十字架を蝋燭の前に置き、ハンカチを広げる。
そして徐(オモムロ)にテーブルの下に置いてあったカッターナイフを手に取ると、迷う事なく自分の指に突き刺した。
何遍も何遍も何遍も――…
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