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「なんで火事になった家の中に飛び込んだんだよ!!コイツが倒れた姉ちゃんに気付いてなかったら…!!」
少し涙ぐんだ尚の瞳は横を見て
「この人…姉ちゃんを助ける為に火の中飛び込んだんだ。
お礼言えよな」
ポツリ、そう呟いた
私は尚から視線を外し、ベッドから上半身を起こすと私を助けてくれたという方に顔を向けた
「あの、ご迷惑お掛けして申し訳ありません。私なんかを助けて下さってありがとうございます」
礼をしてから助けてくれた人の顔を見た
う…わ…
凄くかっこいい…
「いえ。貴方の家の外で近所の方が貴方が家の中に飛び込んだまま出てこないと言っておりましたので。
不謹慎で申し訳無いのですが土足であがらせて貰いました
迷惑だなんて思っておりませんよ。私も貴方が無事で何よりです」
ニコッと笑うその顔は少し幼さを漂わせた
紳士的な振る舞いと言葉遣い
こんな人に助けて貰えたのなら火事の中に飛び込んで良かった、なんて思ったり…。
「本当にありがとうございます。あの、お名前を伺っても宜しいでしょうか?お礼をしたいのですが」
お礼をしたいのは本当だけど
名前を聞いたのは私情
かっこいい命の恩人の名前…知りたいという下心は隠して相手の様子を伺う
「あぁ、申し遅れました。
私は天童 司(テンドウ ツカサ)と申します」
天童…司…
名前まで綺麗な人なんだなぁ
あ、私も自己紹介しなきゃ
「天童さんですね、あ!私の名前は──「柊 刹那さんですよね」…え?なんで知って…」
私の自己紹介を遮り、尚且つ私の名前まで当てた天童さん
どうして私の名前を知っているのだろう
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