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「実は私、貴方のご親戚の方が創立した私立柊学園の生徒会長をやっているんです。
貴方の家の表札を見たときにまさかと思いまして
あぁやっぱり理事長の雰囲気と少し似ているね…」
「ひゃぁっ」
天童さんは嬉しそうに笑うと私の頬を撫で、懐かしくも誇らしげな表情を浮かべた
突然頬を触られたことにビックリして変な声を出してしまった私
恥ずかしい気持ちを隠せないまま
私の顔はどんどん赤く染まっていた
「そういや姉ちゃん!!」
尚の声に天童さんはパッと手を離す
尚の声は私達を引き裂くように荒々しかった
離れていく天童さんの手を少し残念に思いながら眺め、そして尚の方へ顔を向ける
「どうしたの?」
私が尋ねると尚は気まずそうな顔をして口を開いた
「落ち着いて聞いてくれよ?
母さんと父さん…助けるのが遅れて手遅れだっ…て。」
え?
私は尚の言葉が信じられなくて尚と天童さんの顔を交互に見つめる
二人とも顔を伏せていて、尚は肩を震わせて悲しみに堪えているのが分かった
そして両親が亡くなった事が嘘では無いことを悟った
「そっか…。私、せっかく二人を助けに行ったのに天童さんに迷惑かけて、二人を助けることもできなかったんだね
ごめんね尚。私…役立たずで。
ごめんなさい天童さん、天童さんを危ない目にあ、わせ…てし、ッま…って…」
尚を悲しませないために平然を装うつもりだったのに
最後の最後で涙をこらえることが出来なくなりポロポロと頬を伝う温かい涙に私は情けなくなった
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