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エントランスに降りると、フェイトがいた。
常に不機嫌そうな表情をした、少し近付きにくい雰囲気の美少年だ。
ボクは正直、少し苦手だったりする。
フェイトは何やらエントランスの入口の方を見ていて、ボクの存在には気付いていない様だ。
「お、おはよう」
フェイトの背中に向けて挨拶の言葉を紡ぐ。
ボクの言葉に反応して振り返ったフェイトは、やはり不機嫌そうな顔をしている。
「クレイシア?
おはよう」
特に驚いた様子もなく、フェイトは平坦な声で言う。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
何を話したら良いかわからず、妙な沈黙が訪れる。
不意に、フェイトが口を開いた。
「上でシナに会ったか?」
質問の要領を掴めなかったけど、とりあえず答える事にした。
「うん、会ったよ。
もう部屋に戻っちゃったけど」
「そうか」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
再び訪れる妙な沈黙。
き、気まずい。
フェイトは気まずさを感じさせない、爽やかな不機嫌顔をしている。
“爽やかな不機嫌顔”って言うのは、自分で言っててどうかと思うけど、フェイトの容姿を表現するには、中々的を得た表現だと思う。
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