それぞれの朝Ⅲ~クレア~

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      エントランスに降りると、フェイトがいた。 常に不機嫌そうな表情をした、少し近付きにくい雰囲気の美少年だ。 ボクは正直、少し苦手だったりする。 フェイトは何やらエントランスの入口の方を見ていて、ボクの存在には気付いていない様だ。 「お、おはよう」 フェイトの背中に向けて挨拶の言葉を紡ぐ。 ボクの言葉に反応して振り返ったフェイトは、やはり不機嫌そうな顔をしている。 「クレイシア? おはよう」 特に驚いた様子もなく、フェイトは平坦な声で言う。 「・・・・・・」 「・・・・・・」 何を話したら良いかわからず、妙な沈黙が訪れる。 不意に、フェイトが口を開いた。 「上でシナに会ったか?」 質問の要領を掴めなかったけど、とりあえず答える事にした。 「うん、会ったよ。 もう部屋に戻っちゃったけど」 「そうか」 「・・・・・・」 「・・・・・・」 再び訪れる妙な沈黙。 き、気まずい。 フェイトは気まずさを感じさせない、爽やかな不機嫌顔をしている。 “爽やかな不機嫌顔”って言うのは、自分で言っててどうかと思うけど、フェイトの容姿を表現するには、中々的を得た表現だと思う。      
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