4209人が本棚に入れています
本棚に追加
/466ページ
何とか沈黙を破らなきゃ。
とりあえず、思いついた事を口にする。
「・・・フェイトは、こんな所で何してたの?」
朝早いエントランスに、一人でいると言うのも変な話だ。
あ、そういえば、シナもこんな朝早くから何してたんだろ?
その答えは意外にもフェイトから返ってきた。
「さっきまでシナといたんだ」
ああ、そうだったんだ。
あれ?
でもそれじゃあ、今ここにフェイトが一人でいる説明にはなってない気がする。
そんなボクの表情を読み取ったのか、フェイトは暫し思案顔をした後、言葉を紡いだ。
「シナとエントランスで別れたんだが、良く考えるとオレも帰る方向が同じだった」
???
頭の中に疑問符が浮かぶ。
要領を得れないフェイトの言葉にボクは首を傾げる。
「え~と・・・」
「別れの言葉を交わした後に同じ方向に帰るのは気まずい。
だ、だからここでシナが帰るまで時間を潰していたんだ!!」
ボクの言葉を遮り、口早に言うフェイト。
その表情はどこか恥ずかしそうで、フェイトはボクの方を見ようとしない。
「・・・じゃあな、オレはもう行く」
照れ隠しをする様に、フェイトはボクと目を合わせる事なく階段の方へと足早に消えて行った。
最初のコメントを投稿しよう!