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瓦礫の山の中、白銀の髪をした女性が血塗れで倒れている。
その傍には、同じく白銀の髪の少年――――幼き頃のオレが泣き喚いてた。
「姉さん!!姉さん!!・・・ねぇ・・・死なないでよ姉さん!!!!!」
ああ、あの時の夢か。
“姉さん”その一言でオレは全てを理解した。
今、オレは夢を見ているんだ。
過去である悪夢を。
「姉さん!!姉さん!!」
幼いオレが、必死に、何かにすがる様に叫んでいる。
そんな悲痛な叫びとは裏腹に、女性の腹部から大量の血が止めどなく流れている。
夢を夢だと自覚して、その様子を客観的に見ている。
それはまるで劇でも観るかの様な感覚で、とても奇妙な夢だ。
なのに、何故か頬を熱い物がつたっ――――「そろそろ、起きて下さ~い!!」
突然、夢の世界に何者かが強制介入してきたため、
ビクリッ!!と体を震わせ目が覚めた。
「あ、やっと起きましたね」
目と鼻の先に、金色の髪をした白衣の女性がいた。
“起きた”と言うより“起こされた”って感じだ。
って言うか
「なんでセレンさんがいるすか?あと、近いです顔」
とりあえず思った事をそのまま言ってみる。
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