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研ぎ澄まされた刃もさることながら、鍔と柄の細部にまで施された装飾は、もはや芸術品と言っても過言ではないだろう。
魂を吸い込まれそうな程に鋭く、妖艶に研ぎ澄まされた刃を前に、思わず感嘆の声を漏らしてしまう。
「・・・綺麗だ」
カタナを言い表すならば、この一言に尽きる。
おそらく、大陸中のどこを探しても、カタナを上回る美しさ持つ武器など存在しないだろうーーー
「な、なにを言っている!」
シャムの一声によって遮られる思考。
「なんだ?デカい声だして」
もう少し静かに“カタナ“を鑑賞したいのだが・・・
「い、今、私の事・・・綺麗って・・・」
珍しく取り乱すシャム。
こいつにも人間らしい所があるんだな。
「はぁ、お前じゃない、その“カタナ“が綺麗だ、って言ったんだ」
確かにシャムも綺麗だが、そんな事を口に出しても仕方がないだろうに。
「・・・そう、わかった」
それだけ言うと、シャムは普段の表情に戻り、カタナを鞘に納めた。
いつもより、少しだけ表情が不服そうに見えるのは、きっとオレの思い過ごしだろう。
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