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シャムに魔法石を持っていないか訊ねてみるも、彼女は黙って首を振った。
シャムがアイリアスに戻るためには、セレンさんと連絡を取らなければならない。
だが、現在オレもシャムも魔法石を持ち合わせていない。
と、なると、する事はただ一つ。
「寮に取りに戻るしかないな・・・」
しかし、シャムはどうしたものか。
オレや白騎士とは違い、顔隠さずに断罪の騎士団の活動に携わってきたシャムは、世間に顔を知られている。
序列第4位“蒼焔の騎士“ともなれば、賞金首として指名手配されているくらいだ。
もし誰かに姿を見られれば即、軍に通報されるだろう。
仕方がない。
「シャム、悪いがここで待っていてくれないか?オレは寮に戻って魔法石を取ってくる」
ここの林なら、おそらく人に見つかる心配もないだろう。
「イヤだ」
キッパリとした口調で断るシャムに、オレの思考は一瞬停止する。
「・・・なんだって?」
「イヤだ。私も、行く」
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