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正直、あんまり覚えてない。
「覚えてないから聞いているんです」
オレがそう言うと、セレンさんはわざとらしく溜め息をついた。
「昨日いきなり血塗れで医務室に来たのはシナ君ですよ?」
「オレが?」
「そうです!シナ君はダラダラ血を流しながら医務室に来るなり、バタンキューって倒れちゃって、もうその後は大変だったんですから!!」
う~ん、言われてみればそんな感じだったかな。
覚えてないけど。
昨日の事を思い返してまる・・・・
昨日の夜、オレは断罪の騎士団の仕事でオールディス王国のとある貴族の舘へ向かった。
目的は、その舘の主である貴族の暗殺。
断罪の騎士団では良くする仕事である。
貴族と言っても、名のある魔術師や騎士の家系ではなかったから簡単な仕事のはずだった。
いや、仕事自体は簡単だったな。
いつも通り直ぐに片付いたし。
その後・・・・・
そこまで思い返して、ようやく寝起きの頭が働き始めた様で、全て思い出せた。
その後何があったのか。
「思い出しましたか?」
セレンさんが顔覗いてくる。
「思い出しました。セシ・・・騎士長への報告は?」
仕事が完了したら、断罪の騎士団のトップである騎士長に報告するのがルールだ。
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