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そんなに広くないこじんまりとした、きれいに片付けられている部屋に、三人の高校生の男女が集中して机に向かっていた。
一人は少女で二人は少年。その三人はしばらく机に向かっていたが、不意に一人の少年が顔を上げた。
「やり~。俺が一番速く終わった」
笑みを浮かべながらその少年が言うと、その後にもう一人の少年が顔を上げた。
「さすが速いね、成。結構空白あるけど…」
「うるさいっ! できればいいんだよ。少しくらい空白があっても」
成と呼ばれた少年はすねたようにそう言う。するとまだ机に向かっていた少女が軽く背伸びをして成の方を向く。
「それじゃあだめなんだよ。宋君は全部埋めてるんだから。少しは見習ったら?」
「凜に言われたくないね。お前も空白あるじゃん」
「…私はいいの」
凜は気まずそうに目をそらす。そのやりとりを笑いながら宋は見る。
しばらくの間話をして、不意に成は部屋にある時計を見た。
「あ、もう五時か…俺、もう帰るわ」
「それじゃあ僕も帰るよ。じゃあね、凜ちゃん」
二人は立ち上がり、荷物を持って部屋から出ていった。
凜は手で顔を覆うと、ぼそっとつぶやいた。
「バレてないかな…」
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