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放課後。
凜は早めに帰り支度をすませ、宋の方へ歩いて行った。
「一緒に帰らない?」
「うんいいよ」
宋は自分のかばんを持って立ち上がり、凜を促して外に出ようとした。その時ちらっと成の方を向く。
「俺は用事があるから、今日は一緒に帰れないんだよ」
「わかった。じゃあね」
成は軽く手を振って宋達を見送った。
校門から出て少し歩いた頃に、ずっと黙っていた宋が口を開いた。
「今日は悔しかったな…」
「何が?」
凜は不思議そうに尋ねる。宋は笑みを浮かべながら、でも悔しそうに言う。
「凜ちゃんを成よりも速く見つけられなかったこと。一番に見つけたかったのになぁ」
凜は驚いた様に宋を見る。宋も凜の方を向く。
「ごめんね、すぐに見つけられなくて」
「いや、別にいいよ」
なんだか恥ずかしくなり、凜は顔をそらした。
「たぶん、僕よりも成の方が凜ちゃんのことわかってるんだろうね」
「そうなのかな…?」
「うんたぶんね。でもこれからはもっと凜ちゃんのこと、わかるようにするからね」
「え…?」
再び顔を宋に戻すと、珍しくほほを赤くしていた。そしてごまかすように宋は笑う。
「これからもよろしくねっ」
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