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自称神の前に居た筈なのにいきなり穴みたいなのに落ちて俺の意識は途絶えた。
それからどれだけ時間が経ったかは分からないが、俺の時間感覚的には意識が途絶えたその直後。
目を開くと白い天井が視界に入った。
体は白を基調とした清潔で花の香りがする半袖長ズボンの患者衣を着ていて、肌触りの滑らかなシーツに包まれた柔らかいベッドに乗せられている。
……この状況……これはあの台詞を言う絶好の機会……
「まさか、知らない天井だ、なんて言うつもりかい?」
「心を先読みされた!?」
体を勢いよく起こし、声がしたベッドの横に視線を向ける。
そこには真っ白な白衣を纏い、聴診器を首にかけ、俺の顔をじっと見つめている……
カエルがいた。
「なに、起きて最初にそう言う患者をたくさん見てきたからだよ。それより意識が戻ったようだね?」
「カエルが……喋った……」
「おかしいな……脳に異常は見つからなかったんだけど再検査の必要有りかな?頭を切って中を直に覗いてみた方がいいかもしれないね?」
「冗談です。超健康体です」
サラリと何てこと言いやがる。
俺の横に立っているこのカエル顔の医者。
顔に似合わず、どんな病気・負傷であってもあらゆる手段を用いて治療してしまうという凄腕の名医だ。
付いた異名は『冥土帰し』。
しかし、病院勤務で看護婦属性有りという困った医者でもあるのだが。
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