序章ー始まりの日ー

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「メェェーンッ!」 バシン、という凄まじい音の後 180以上ある長身の男が竹刀を手放しバタンと倒れた 「面あり、一本!勝者、神崎 蝶ーカンザキ チョウー!」 審判がそう言うと場内は歓喜に包まれた 世界一を決める剣道の大会の決勝戦 年齢、性別を問わず行われた大会で優勝したのは神崎 蝶という大会参加者最年少である17歳。性別は名前から見ても分かるように女の子だ 「有り難うございました」 凜とした声が場内に響く スッと面を取ると蝶の顔を見た人々は感嘆の溜め息を零した 漆黒のさらさらの長い髪 スッと通った鼻筋 すべてを見透かすような碧い瞳 「蝶さん。優勝おめでとうございます!今の気持ちを…」 群がる記者に蝶は眉ひとつ動かさない それどころか視界に入れようともしない 蝶は音もなく立ち上がるとスタスタと歩き出した 「あの“神崎”の娘さんというのは本当ですか?!」 .
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