勝負

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健二は予科練で兄に負けないように、勉強や訓練を続けた。 「健二、お前、戦闘機乗りを目指すんか?」幼なじみの吉田裕一が突然聞いてきた。 「裕一、あったり前やん、敵機をバタバタ落としたる。ドイツ軍のパイロットは何百機って撃墜してるで」 「あのなー、俺達が乗ってるん、赤とんぼやで、無理、無理。俺は艦爆か艦攻に乗って、デカイ船を撃沈するねん」 「なら、裕一が船を撃沈するんが多いか、俺の撃墜が多いか、勝負や!」 「おっしゃ、わかった。負けへんで」 「俺も負けへんで」と、健二は兄の約束を思い出していた。
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