妹が目覚めた日

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妹は部屋にこもり泣きながらハサミで手をきっていた もう切り傷はたくさんある 俺はそれをみて腰をぬかした なにがおきてるのか分からない…… 五歳の女の子が自分を自分で痛め付けていることを素直に理解できる小学生がいたら教えてほしい 俺はどうしたらいいんだ 勇気を振り絞りあずきに近寄ると机に目がいく 見ると画用紙にあずきが好きなあずき色のペンで 『兄さんがいない。兄さんがいない。兄さんがいない兄さんがいない。女の子と遊んでる…みたくない…いや…いや!』 と繰り返されていた それをみた俺はその時の自分の行動に『……』している もう少し距離のある言葉と行動をしていたら今のようにはならなかったかもしれない… でもその時の俺は夢中で… 他の行動なんて… 考えもしなかった 気付くと俺は… 実の妹に… 抱きしめて… キスしていた 「ここにいるよ…。」 「…にぃ……さん…。」 「ああ。」 「あずき以外みちゃいや。」 その言葉は… 子供の独占欲とかではなく 心から告げられた一言だった わかっていたのに… この時の俺は… 力強く 「……ああ。」 それに答えた
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