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「おばさんおはよーっ!律(りっ)ちゃん起きた?」
「おはよう、実咲ちゃん。律也まだ寝てるわよ」
「ありがとっ!起こしてくるね!」
中2、2月。
昨日の夜まで降り続いた白い雪が、屋根を滑って地面に落ちる音が耳に届く。
太陽の光が雪の表面を溶かして、キラキラと輝く様子はとても綺麗。
あたし、奥村実咲(おくむら みさき)は、そんな新雪の上にためらいもなく足跡第1号を付けて、隣の家に走り、短い挨拶を済ませ、2階へ。
「りーいっちゃーん!律ちゃん!朝だよ!起きないと律ちゃんの朝ご飯食べちゃうよ!」
大きく山を描いて盛り上がった布団の固まりに、叫ぶ。
「……うるせえ……、まじで……。みさきアホ……」
あたしの陽気なテンションとは裏腹に、布団の中から不機嫌そうに顔を覗かせたのは、この部屋の持ち主。
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