冬*おさななじみ。

2/17
前へ
/612ページ
次へ
「おばさんおはよーっ!律(りっ)ちゃん起きた?」 「おはよう、実咲ちゃん。律也まだ寝てるわよ」 「ありがとっ!起こしてくるね!」 中2、2月。 昨日の夜まで降り続いた白い雪が、屋根を滑って地面に落ちる音が耳に届く。 太陽の光が雪の表面を溶かして、キラキラと輝く様子はとても綺麗。 あたし、奥村実咲(おくむら みさき)は、そんな新雪の上にためらいもなく足跡第1号を付けて、隣の家に走り、短い挨拶を済ませ、2階へ。 「りーいっちゃーん!律ちゃん!朝だよ!起きないと律ちゃんの朝ご飯食べちゃうよ!」 大きく山を描いて盛り上がった布団の固まりに、叫ぶ。 「……うるせえ……、まじで……。みさきアホ……」 あたしの陽気なテンションとは裏腹に、布団の中から不機嫌そうに顔を覗かせたのは、この部屋の持ち主。
/612ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25810人が本棚に入れています
本棚に追加