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「…………」
私はため息を一つ吐き、適当な家の塀に背中を預けた。
そのまま、ずるずると腰を下ろし、呆然と通りを眺めた。
――夜の闇。
家々の窓からは、見るからに暖かそうな光が漏れている。
香ばしい匂いは、カモのローストチキンに違いない。
対する私は、空腹の余り、生えていれば雑草にすら手を伸ばしてしまいそう。
身体も、もう震える力すらも無い程に冷え切っていた。
……もし今ここで瞼を閉じれば、もう二度と開けることが叶わないだろう。
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