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「きゃ!? な、なにを――!」
気がつけば、氷点下の通りに座り込んでいた筈の私は、家のダイニングにいた。
そして、眼前には炎上するお父さんがいて、赤黒く焦げた腕を私に向けて伸ばしている。
「やっ! やっ! いやああ!!」
どうやら、お父さんは一人で死ぬ気がないらしい。
私は必死で逃げて――お父さんも、訳が分からない事を叫びながら必死で私を追いかけまわして……。
――でも、結果は始めから見えていた。
狭いダイニングで、文字通り死に物狂いで追いかけてくる人間の腕から、逃れられる筈が無かった。
ほどなくして、私は捕まり――
「――――ぃッ!!?」
炎が、いっそ軽快さすら感じさせる程にあっけなく、私の身体に燃え移った。
その瞬間、先程まで凍えそうになっていた事など、私の記憶から消し飛んだ。
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