モノローグ

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「けほん、けほん」  暖炉の傍は、いつも灰まみれ。  暖炉の傍に寝そべるわたしも、いつも灰まみれ。 「……けほっ」  今は丑三つ時。家族はみんな寝静まっている。  わたしも、いつもなら家中の仕事に身体を酷使して、疲れて泥のように眠っているところ。  でも、今晩はどうしてか寝入ることが出来ず、膝を抱えて追憶にふけっていた。  ――シンデレラ、どうしたんだ?  ――お前もこっちに来て、一緒に食事を摂りなさい。  ――お父様、あの子は私達と一緒に食べるのが嫌なんだって。  ――放っておいてあげましょう? 「……違います。本当は一緒に食べたいんです。  でも一緒に食べると、義姉様が後でいじわるをするんです」  ――灰かぶり。  ――私と娘は三人で演奏会に行くから、家事を全て終わらせておくのよ。    ――そうよ灰かぶり。  ――全く、小汚い格好をして。少しは私達を見習ったらどうなのかしら?  ――無駄よお姉様。  シンデレラは万年灰まみれなんだから、どれだけ綺麗にしても小汚いままよ。 「わたしが灰かぶりなのは、わたしのせいじゃないのに……」  暖炉の傍で寝起きしているから、どうしたって灰にまみれてしまう。 「それに……わたしは、シンデレラなんて名前じゃない」  お母様が生きていた時、少なくともわたしは灰かぶりじゃなかった。
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