4人が本棚に入れています
本棚に追加
暖炉の傍、お母様がピアノを弾いていて。
お父様は、そんなお母様の絵を描いていて。
わたしは二人の間のソファーに腰掛けて、二人の温もりに心を和ませながら、本のページを繰るの。
――あなたは難しい本ばかり読むのね。
――きっと、お父さんに似たのでしょうね。
――お前は物静かな子だな。
――きっと、お母さんに似たのだろうな。
「……お母様。お父様は変わってしまわれました」
以前のお父様なら、継母様や義姉様の狼藉を許したりはしなかった。
以前のお父様なら、わたしを『シンデレラ』などとは呼ばなかった。
「……お母様。どうしてこんなにも、人は人に対して不親切なのでしょう」
わたしには、義姉様や継母様の気持ちが全く分からない。
……今のお父様の事も、良く分からない。
わたしは、困っている人がいたら手を差し伸べずにはいられない。
猫を虐める子を見たら、声を荒らげずにはいられない。
家族が死んで悲しんでいる子を見たら、わたしも涙を流さずにはいられない。
……それが、普通だと思っているから。
だから、普通じゃない人の気持ちが、全く理解出来ない。
最初のコメントを投稿しよう!