シンデレラ

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シンデレラ

 ――朝、掃除をする。  広いお屋敷を掃除するのは、わたし一人。    お父様とお母様と暮らしていた時は、女中さんが数名いた。  でも、わたしをこき使うためだろう――継母様の指示で、その人達は全員暇を出されていた。  わたしのベッドがある部屋は、今は下の義姉様が使っている。  かつては、お母様が枕元に座って絵本を読んでくれた、思い出深い部屋だったけど。  ――今では、ぎらぎらした装飾が部屋中に施されて、当時の面影はない。  だから、モップを持ってその部屋の前を通るとき、いつも切なくて堪らなかった。
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