かざみくん

2/4
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
それは、僕が小学4年生のこと。 その日は、朝からずっと雨で、みんな外にも遊びに行けないから、教室の空気はすごく重くなっていた。 「あーあ、つまんないなあ、昨日はあんなに晴れていたのにさ」 いすに座って伸びをしながら言ったのは、かっつん。 「ほんとほんと、教室じゃ何も出来ないしなあ」 そういってあくびをしたのは、クラスで一番頭のいいヨシヤ。 「うーん…」 僕は、机に伏せたまま、窓の奥にある薄暗いネズミ色の空を眺めた。 本当に、どんよりって感じ。 「なあ、こーたろー、転校生来るって話、知ってるよな?」 「あー…?ああ、なんか知ってるよ」 かっつんがニヤニヤしている。今時転校生なんてめずらしくないのになぁ。 「でも今時転校生ってめずらしくなくない?」 最近このクラスでは、転校生が来るという情報があった。でも特に驚きもせず、クラスのみんなは「ああ来るのか」ぐらいの反応でいた。 「それが、その転校生やばいらしいんだよ!なんつーか…なんかのスポーツがすごいらしくて…」 「なんか多いよ」 笑いながら言った。 僕はまた窓の奥を眺めながら、転校生に色々学校案内してあげなきゃなーと思った。 空は相変わらず、どんよりしたネズミ色だった。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!