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それは、僕が小学4年生のこと。
その日は、朝からずっと雨で、みんな外にも遊びに行けないから、教室の空気はすごく重くなっていた。
「あーあ、つまんないなあ、昨日はあんなに晴れていたのにさ」
いすに座って伸びをしながら言ったのは、かっつん。
「ほんとほんと、教室じゃ何も出来ないしなあ」
そういってあくびをしたのは、クラスで一番頭のいいヨシヤ。
「うーん…」
僕は、机に伏せたまま、窓の奥にある薄暗いネズミ色の空を眺めた。
本当に、どんよりって感じ。
「なあ、こーたろー、転校生来るって話、知ってるよな?」
「あー…?ああ、なんか知ってるよ」
かっつんがニヤニヤしている。今時転校生なんてめずらしくないのになぁ。
「でも今時転校生ってめずらしくなくない?」
最近このクラスでは、転校生が来るという情報があった。でも特に驚きもせず、クラスのみんなは「ああ来るのか」ぐらいの反応でいた。
「それが、その転校生やばいらしいんだよ!なんつーか…なんかのスポーツがすごいらしくて…」
「なんか多いよ」
笑いながら言った。
僕はまた窓の奥を眺めながら、転校生に色々学校案内してあげなきゃなーと思った。
空は相変わらず、どんよりしたネズミ色だった。
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