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「やれやれ…」
ビヨンセは体に付いた砂埃を払った。
「ビヨンセ、ヤメテ!」
当然シャーリーは被害を被る。
当のビヨンセはシャーリーを完全に無視して、周りをゆっくり見渡す。
「モウ、ビヨンセ!!」
辺りには、さっきまでいた機械たちの残骸がゴロゴロと転がっていた。
ビヨンセはしばらく様子を窺ってから、肩を落とした。そしてまた地下へと繋がるドアを持ち上げて、中に入っていく。もうじき太陽が廻ってきて、地上は灼熱地獄と化すからだ。
「今回もハズレ、か」ビヨンセはため息をついた。
ビヨンセの"仕事"とは、地上に存在する機械の中、一体だけが持つ"ある物"を回収することなのだが…。
「こんな広いとこたった一人でどうやって探すんだよ、クソ」ビヨンセは悪態をついた。
「ボクガイルヨ、ビヨンセ」しかし、相変わらずシャーリーは無視される。ビヨンセは疲れているのだ。
地下に入ると、そこは広い通路になっている。この惑星の地下を結ぶトンネルで、火星にある"本社"から月に一度トンネル延長の工事に人が派遣される。
ビヨンセは、そばに停めてあったバイクに跨る。
「ビヨンセ、ドコイクノ?」
「シャーリー、着いたら分かる」ようやく返事した。
そう、次の目的地は…。
ビヨンセは宇宙無線で"マチルダ"に何か伝言を残した。
そして、エンジンを蒸かすと轟音と共に走り出した。
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