〇●物語

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「やれやれ…」 ビヨンセは体に付いた砂埃を払った。 「ビヨンセ、ヤメテ!」 当然シャーリーは被害を被る。 当のビヨンセはシャーリーを完全に無視して、周りをゆっくり見渡す。 「モウ、ビヨンセ!!」 辺りには、さっきまでいた機械たちの残骸がゴロゴロと転がっていた。 ビヨンセはしばらく様子を窺ってから、肩を落とした。そしてまた地下へと繋がるドアを持ち上げて、中に入っていく。もうじき太陽が廻ってきて、地上は灼熱地獄と化すからだ。 「今回もハズレ、か」ビヨンセはため息をついた。 ビヨンセの"仕事"とは、地上に存在する機械の中、一体だけが持つ"ある物"を回収することなのだが…。 「こんな広いとこたった一人でどうやって探すんだよ、クソ」ビヨンセは悪態をついた。 「ボクガイルヨ、ビヨンセ」しかし、相変わらずシャーリーは無視される。ビヨンセは疲れているのだ。 地下に入ると、そこは広い通路になっている。この惑星の地下を結ぶトンネルで、火星にある"本社"から月に一度トンネル延長の工事に人が派遣される。 ビヨンセは、そばに停めてあったバイクに跨る。 「ビヨンセ、ドコイクノ?」 「シャーリー、着いたら分かる」ようやく返事した。 そう、次の目的地は…。 ビヨンセは宇宙無線で"マチルダ"に何か伝言を残した。 そして、エンジンを蒸かすと轟音と共に走り出した。
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